コロナ禍の3年間で、新たに生まれた仕事の手段として、「オンライン会議」「リモートワーク」といったものがある。正直なところ、zoomなどで、パソコンに向かって、オンラインでやり取りをするのは得意ではない。というか、好んでやる人など殆どいないのではないかと思っている。しかしながら、回を重ねてみると、有用なところもあり、今後、コロナ禍が一定収束する中で、対面によるものとオンラインによるものを適宜併用していくビジネススタイルが定着するものと思われる。
一方的な通達や連絡などの会議ならば、オンラインでほぼカバーできる。その場に行く旅費交通費が節減できるし、行き帰りの時間を他の仕事に充てることができるので、有益なツールといえる。一方、現場の臨場感が重要で、双方向のやり取りが必要になる会議や我々でいえば、人材育成などの研修、助言等になると、オンラインでは、その半分もカバーできず、逆に消化不良になったり、お互いにストレスが溜まったりする。通信環境が良くなければ、余計に効率が悪い。
そこで、私の本業である、経営等における助言だが、前述のように、オンラインでは、半分も所期の目的を果たすことが難しいとは思うが、いろいろと条件整備をすることによって、効果的になる可能性があり、そう否定的になることもないと思っている。要は、顧客が満足したり、納得する助言を遂行できればいいのであって、今後、コロナ禍等の感染がどうなるかわからない状況下では、とにかく、あらゆる手段を講じて、仕事を遂行する手立てを講じるべきである。
経営コンサルティングにおける、オンライン助言の要諦は、まず、顧客が全幅の信頼を助言者に置いて、相談をしていただくということが前提条件になる。そのためにも、こちら側の実力がことさら問われることになる。それから、オンラインでのヒアリングや助言をできる限り有益なものにするために、くだんの相談内容に関する事前情報を、どれだけ正確に把握できるかという条件が重要だ。後は、現場にも行けない中、限られた情報で、どれだけ顧客の問題解決に直結する助言ができるかというところにかかっている。
「全人格的な支援・助言」ということを、この職業についてから24年間、ずっと意識し続けてきた。助言は、もちろん言葉で実行するものであり、その言葉に魂が込められ、顧客の行動を喚起する力がないと、やる意味がないし、報酬をいただくことはできない。対面であろうと、オンラインであろうと、そこは真剣勝負の世界で、むしろ、オンラインの方が、同時性が高いだけに、助言の品質をすぐに判別されてしまうというところがある。
現地に行かなくてもいいだけ、オンラインでの取り組みは体力的には楽である。その代わり、発信する方には、もの凄いプレッシャーがかかることになる。それを克服して、顧客をして「さすがにプロフェッショナルの仕事だ」といわしめる、斬れ味のある、全人格的な助言を常に遂行していくのが、一流の助言者だと思っている。私自身、まだまだ未熟ではあるが、そうありたいと常に意識をしているところだ。
株式会社フォレスト・ミッション 代表取締役、林業経営コンサルタント、経済産業大臣登録・中小企業診断士
我が国における林業経営コンサルティングを構築した第一人者であり、これまで460超の林業事業体の経営コンサルティングに携わる。2015年から、活動拠点を東京から信州・蓼科に移して活動中。