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森林・林業からみた太陽光発電

投稿日:2024年4月19日 更新日:

 ここのところ、中国企業のロゴ問題で、再生可能エネルギー、とりわけ、太陽光発電についての議論が「軋み」を伴いつつ、展開されている。再生可能エネルギーについては、森林・林業側からは、バイオマス発電が最も身近だが、この事業が果たして持続可能なのか、個人的にはかなり疑問を持っているところだ。しかしながら、山側としては、従来、林地残材として林内に捨てていたものが、収益になり、それが、費用をまかなったり、山元に還元する原資になるということで、基本的には、FITという制度は、有難いものだということになる。

 そのバイオマス発電は、2022年度において、我が国の発電全量に対する割合が、4.6%となっているが、木質バイオマスとなるともっと低くなり、微々たる規模である。これに対して、太陽光発電の割合は、9.9%と1割近くになっており、水力発電の7.7%を上回っている。その意味では、再生可能エネルギーの「エース」とも云える存在になっている。

 太陽光発電については、そのマイナス面について、いろいろな指摘がなされている。中国製が80%以上だとか、それがウイグル人の犠牲のもとに生産されているとか、粗悪品等々あるが、私は森林・林業に関わる者として、その立場からはただの環境破壊であり「百害あって一利なし」と考えている。元々、森林だったところを伐開して、そこに、決して美しいとはいえない、太陽光パネルを一面に敷設した光景は、醜悪そのものである。まず、見た目の景観が台無しになる。そして、公益的機能の側面からは、下草が生えないことによる裸地化や表土の雨などによる流出という問題がある。転石などでパネルが破損すると、そこから、ヒ素やカドミュウムなどの有害物質が出て、土壌や地下水を汚染するというリスクもある。

 私自身は、森林・林業の立場を離れても、この太陽光発電には、FITの対象になる前から違和感を持っていた。電力としても、いわゆる「ベースロード電源」にはならず、インフラや工業用としてはあてにならない。そして、灼熱の砂漠のようなところならいざ知らず、日本の狭い国土や入り組んだ地形には馴染まないものだと云える。経済産業省が標榜している「2030年における再エネ比率36%~38%」という目標値における主力の電源は、太陽光発電である。そこには、東京都のように、新築住宅に太陽光発電のパネル設置を義務付けるというような、愚策そのものも含まれている。

 再生可能エネルギーの中で、まともなのは、水力発電と水素発電、それに地熱発電くらいであろう。風力発電もかなり問題含みであり、バイオマス発電は、とりわけ木質バイオマスについては、間伐材や未利用材の供給側がついていけず、持続可能とは云えない代物である。そして、太陽光発電は、そこにさまざまな利権が絡み、欲深い者たちの金儲けの具となっており、そのツケを「再エネ賦課金」ということで、一般国民が負担させられる、本当に我が国にとって必要なのかどうか、抜本的な検討や検証が必要だと思っている。

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