フォレスト・ミッションBLOG

林業の産業としての自立、そして林業に従事する人たちが誇りを持てるように、私たちは、自らが信じる、森林・林業のあるべき姿を、林業関係者の皆様と一緒に創造していきます。

未分類

風邪の安静時は読書に限る

投稿日:2025年11月23日 更新日:

 今週は、風邪の症状が顕在化したので、最低限の内部会議をしながら、出来るだけ、安静にしている時間が多かった。風邪といっても、熱が出るわけではなく、咳き込むことが多いのと全身が怠いというだけの症状で、栄養のあるものを摂ってあとは休養するというのが対策としてはベストである。いきおい、自室のベッドやソファで横になることが多くなるのだが、そういう時は、専ら、読書をすることが多くなる。今回、集中的に読んだのが、「幻の女」( 香納諒一  著 角川文庫 2003年刊)である。720ページもある分厚い本で、こういうふうに「読書向きの時間がある」ときに読んでおきたいと以前から思っていた。

 この物語は、弁護士の男が主人公で、昔、別れた女と偶然、再会したことから、事件と主人公の行動が始まる。とにかく、長い物語なので、読み進めていくにはかなりの根気が必要になる。登場人物は、弁護士の訳あり主人公の他、謎の女、ホステス、暴力団、探偵などなどであるが、全体のトーンとしては、重苦しく、陰鬱な空気の中で、事件が動いていく。1990年代後半の東京が物語の主な舞台ということもあり、文中に出てくる有楽町や銀座コリドー街、晴海通りといった地名は、同じ頃に、東京でサラリーマンや独立自営業者として活動していた私にとっては、その風景が再現されるくだりが多い。そのたびに、当時のことを思い出すという副次的なものをもたらしてもくれた。

 結果的に、この720ページという「大作」を3日間で読み終えたのだが、感動とかまして感涙とか、そういうものはなく、ただ、ハードボイルドの世界にありがちな「一貫して渇いたトーン」というものが、いい味を出していたという印象だった。著者の考え方もそうなのだろう。「常に世の中を冷めた眼でみている」という印象を受ける。文中に、こんな記述がある。「新幹線は、確実に、東京の影を様々な地方都市へと出前している。数限りない小型の模倣をつくりあげ、土建屋と地方出身の政治家とを喜ばせて、実際にそこに暮らす人々には表面的便利さを見せつけながら元の景色を奪い去っていった。・・・」この著者の本音の部分が垣間見える一文だと思った。

 そういう著者の思想というか、思考回路に一部共感しつつ、この分厚い本を読み終えた頃、風邪の症状はかなり良くなった。この著者も私も、昭和三十年代に生まれ、高度成長期とバブル経済期を経て、働き盛りの30歳代、ある意味、陰鬱な1990年代を過ごした。そして、それから、私たちは、巷間喧伝される「失われた30年」をそれぞれの人生として生き、気がつけば60歳代後半を迎えている。この小説の主人公は、その後、ずっと東京で弁護士を続けたのだろうか。そして、プライベートではどんな人生を送ったのだろうかなどと、余計なことを考えたりする。それもまた、同時代を生きた「同志」を想うということで、こういった小説を読む愉しみの一つなのかもしれないと思ったりしている。

 

 

 

-未分類

関連記事

no image

厳しい冬もあと2週間ほどか

 昨日、東京での案件が終わったのが、午後5時前で、午後6時新宿発のあずさ号に乗り帰路についた。茅野駅を降りると、結構、吹雪となっていて、駐車場に置いていた車にもかなりの雪が積もっていた。その雪を払い、 …

トラック輸送費の縮減について

 木材生産・流通の総事業費は、木材価格の向上が見込めない現状で、まだまだ、創意工夫をして縮減し、補助金を活用しつつ、山元に少しでも多く還元していかなければならない。「山側のコスト縮減は、もう限界に来て …

林業経営コンサルタント育成塾(坪野塾)明日開講

 自身の後継者を育成し、バトンタッチしていくのは、その道を開拓した者の責務であると、ずっと意識してきた。これまで、経営コンサルタント(中小企業診断士)としての後進の育成は、神戸にいた時代から、「プロコ …

no image

衆議院補選の総括について

 先週、4月28日に投開票が行われた、衆議院補欠選挙では、結果として、立憲民主党が全勝し、自民党は、唯一、候補者を擁立した、島根1区で敗北、東京15区と長崎3区では、候補者さえ立てられず不戦敗になり、 …

新会社fewt地元財産区との森林整備事業が始動

 昨日は、私が居住する東急リゾートタウン蓼科に隣接する、北山湯川財産区と、株式会社fewtの長期施業受委託契約の調印式だった。自宅から車で5分ほどのところにある、湯川公民館の会議室で北山湯川財産区の総 …