さる3月27日に亡くなった父の埋葬があり、和歌山県・那智勝浦町の実家に滞在している。明日まで滞在して、明後日の朝、東京に向けて出発する。今回は電車での移動になるので、東京までは長旅になる。今期に入って、各種委員会への参画が増えて、いろいろな事業において、意見を言ったり審査をしたりすることが多くなった。一応、全国各地の事情に通じているということと、森林・林業の現場をみて歩いているという「強み」もあり、さまざまな事業の委員として声がかかるというのは、ありがたいことだと思っている。
以前から、若い世代の経営者たちと交流することが多くなっている。全国各地なので、実にいろいろな経営者がいるが、私が林業事業体の経営者として好ましいと思う人材は「経営バランスのいい人物」である。長年、多くの経営者と付き合っていると、その人が「バランスがいいか、そうでないか」は、10分も話せばすぐにわかる。バランスのいい経営者は、話をしていても、発展的、かつ建設的で無駄がなく、多分、結論を出すのも速い。
それと、経営者としての存在理由として決定的なのは、「嘘をつかない」ということだ。少しくらい話を飛ばすのはいい。先だって、石川県の人と話しているときに、「彼は話を盛ることが多い」という表現をしていたが、ほぼ同じ意味らしい。見栄を張ったり、自分を大きく見せようとする、それは、むしろ、経営者としては、身に着けておくべき処世術ともいえる。
私が「けしからん」と思うのは、明らかな嘘を平気でつく人間である。それが経営者であれば、その企業は多分にブラック企業であろう。それも、すぐにバレるような嘘をペラペラとのたまう。経営コンサルタントと呼ばれる人間にも、そういうのがウヨウヨいるが、害悪以外の何物でもない。嘘をつく人間は、とにかく顔相が悪い。
自分に正直に生き、他人にもやさしい人間は、いい顔をしている。歳を重ねれば、重ねるほど、もっといい顔になっていく。私もそうなりたいと思って、これまで生きてきたが、傍目にはどう映っているのだろうか。経営者は、とにかく、「経営バランスの良い人」が一番だ。林業でいえば、ベースは、真っ当な育林や間伐をする、そして、儲ける時は、きちんとした施業でもって利益を確保する。そのメリハリが重要だ。金儲けだけにまい進し、森林を壊して平気でいる者(もの)は、醜悪でしかない。
株式会社フォレスト・ミッション 代表取締役、林業経営コンサルタント、経済産業大臣登録・中小企業診断士
我が国における林業経営コンサルティングを構築した第一人者であり、これまで460超の林業事業体の経営コンサルティングに携わる。2015年から、活動拠点を東京から信州・蓼科に移して活動中。