フォレスト・ミッションBLOG

林業の産業としての自立、そして林業に従事する人たちが誇りを持てるように、私たちは、自らが信じる、森林・林業のあるべき姿を、林業関係者の皆様と一緒に創造していきます。

未分類

林業は本当に絶望的なのか

投稿日:

「絶望の林業」(田中敦夫著 新泉社)という本が、林業関係者の間で話題になっている。私も早速読んでみた。そして、チーム・フォレストミッションのメンバーにも、読むことを勧めた。私個人は、著者の森林ジャーナリストである田中敦夫氏とは面識がないが、書いている内容からして、ジャーナリストとして真摯に取り組んでいる人だと思う。

 今回の、「絶望の林業」は、そのタイトルからして、ショッキングであり、林業側にいる人間は、正面から批判されたことで、田中氏の指摘をきちんと受け止めていかなければいけない。特に、林野庁や森林組合などは、まさに「ボロクソ」に叩かれている。

 私やチーム・フォレストミッションのメンバーは、田中氏と違って林業側の人間であり、しかも、実際に林業をやっている実務者もいる。そういう人間からすると、自分たちが関わっている林業を「絶望の林業」と言われてしまうと、まさに「絶望的に」なってしまうのだが、我々は、そこから逃げ出すことはできない。 

 確かに、林業側には、たくさんの問題があるのは事実だ。「どうして、そんなことがわからないのか」「改めようとしないのか」などと、嘆きにも似た感情を抱くことも多々あって、一体、自分は何をやっているのだろうと自分自身に問いかけることもしばしばである。しかし、私やチーム・フォレストミッションの林業界におけるミッションは、常に、その地域、事業体なりの「「あるべき姿」を明確に示した上で、プレーヤーの人や事業体などが、そこに向かっていく行動をサポートしていくことである。真面目に、そして懸命に努力をしている人たちが、林業界にはたくさんいる。そういう人たちがきちんと評価され、報われる社会にならなければならない。山元に返るはずのお金を収奪しているのは誰か、どうすれば、健全な森林を創りながら、適正な利益を得ていけるのか・・・等々、我々、林業側の支援者は日々、真剣に考えて行動しなければならないのだ。

 田中敦夫氏の、勇気ある指摘には敬意を表さなければならない。そして、絶望的とされた数々の問題に対して、我々は、実践をもって改善なり解決をしていかなければならない。この本を読んで、自分自身の林業界における使命というものが、さらに明確になったような気がする。関係者の中には、怒り心頭の向きもあるようだが、私自身は、むしろ、田中氏に感謝したい気持ちでいっぱいだ。問題があるからこそ、それを改善していけば、良くなるということなのだ。批判は大いにしてもらったらいいと思う。それをどうしていくかが最も重要なのだ。

-未分類

関連記事

正しいことを普通に実行する

 報道によると、山梨県森林組合連合会が運営する共販所(木材市場)で、連合会自身の不正入札があり、会長以下の役員が管理監督責任をとって辞任、当該職員が停職などの懲戒処分となったということだ。明日から、山 …

ソウルフードとしての王将で

餃子の王将のメニュー群  今週月曜日、新会社の仕事の打ち合わせで、(有)天女山の小宮山信吾さんが蓼科に来てくれた。打ち合わせの前に、まず、腹ごしらえをしようと、彼の車で「餃子の王将諏訪店」に行った。餃 …

「暗殺が成功して良かった」発言についての見解 その2

 島田雅彦氏は、私よりも3歳年下の62歳、いわゆる団塊の世代ではないが、思想的にはリベラル、かなりのレフトウィングである。問題の発言は、同じような思想を持つ、ジャーナリストの青木理氏、京都精華大学准教 …

世代間ギャップ≠分断

 今日の蓼科は、快晴で、気温は低いが日差しは暖かい。来週半ばあたりに最後の雪が降り、その後は、一気に春に向かっていく気配で、長い冬も漸く終わろうとしている。この時季の定番の曲は、何と言っても「なごり雪 …

親しい友人との再会を待つ

散策の途中でみえるカラマツ林  GWが近づいてくると、この長い休みの期間に何をしようか、いろいろと思案することになる。どこかに出かけるにしても、車は混んでいるし、ホテルも予約できなかったり、異常に高か …