先月下旬に、少し体調を崩して、しばらく静養していた。その間、自室で本を読んだり、you tubeの動画をみたり、映画を観たりして過ごした。こういう時間は、とても貴重で、定点で世の中の事象や自分自身のことをじっくり考える機会を天が与えてくれたものと思って、ある意味、大変有り難いことだと認識している。若い時は、仕事があって、それに忙殺され、余計なことを考える時間も余裕もないことに充実感をおぼえていたものだが、この年齢になると、明らかにその辺の価値観が大きく転回するものだ。
まずは、今月の衆議院・参議院で可決された、議員立法の「LGBT理解増進法」について考察したい。体調が悪く、自室のベッドで横になっている時に、あれよあれよという間に、採択・可決されてしまった。Lはレズ、Gはゲイ、Bはバイセクシャル(両性)、Tはトランスジェンダーをさし、こういった性的弱者?に対する社会的な理解を増進しようとする法律である。この法案は、2年前に廃案になったものだったが、2月に岸田首相の秘書官が差別発言をしたことを契機に、岸田首相がこの法案の再検討を指示して、議論が高まり、自公案に維新・国民民主の案を容れた修正案が成立した。
保守系の新聞である産経新聞のアンケート調査で、この法案に賛成の割合が6割だったという。驚きである。そもそも、LGBTという意味すらよくわかっていない国民が圧倒的に多いと思う。その上で、それを理解せよと言っても、何のことかわからない人ばかりだろう。私自身は、LとG、Bまでは、その当事者も複数知っているし、そういう人たちを差別してはいけないこともよくわかっている。問題は、Tであり、自認すれば男になったり女になったりする者(しゃ)である。T以降も、QとかIとか無数に分類があるようだが、普通の人々にとって、日常生活にほぼ無関係なことに、反対も賛成もなく、もっというと、当事者の人たちの思いや要望も踏まえないような、今回のLGBT理解増進法は、全く意味をなさない。悪法という見方もあるが、そもそも、法律にするような代物ではない。
作家の百田尚樹氏は、この法律が可決されたことに激怒して、自民党を猛批判し「保守政党」を立ち上げる決意表明をした。論客である有本香氏もそれに同調している。そういう政党が立ち上がって、一定の議席を獲得し、本当の民意を汲んだ活動を展開していくことは、この国のためにも非常にいいことだ。私には何の力もないが、そういう動きを支持していきたいと思う。大多数の国民は、LGBT理解増進法などに関心はない。そして、新聞やテレビしか情報源のない高齢者は、全く蚊帳の外に置かれている。今回の、LGBT理解増進法の性急な成立は、利害関係者でもある国民の民意を無視し、また、説明責任さえ放棄した暴挙であることは論を俟たない。重要なのは、国民生活の向上であり、防衛力の強化である。この法律は全く意味がないと繰り返し強調しておく。
株式会社フォレスト・ミッション 代表取締役、林業経営コンサルタント、経済産業大臣登録・中小企業診断士
我が国における林業経営コンサルティングを構築した第一人者であり、これまで460超の林業事業体の経営コンサルティングに携わる。2015年から、活動拠点を東京から信州・蓼科に移して活動中。