木曜日の早朝、車を茅野駅に置き、あずさ号で東京、そこから、新幹線に乗り継ぎ新潟県の長岡に移動した。今年度最後の出張ということで、電車内において、今年度の出来事をいろいろと振り返りつつ、コロナ禍の中で、まず、健康を維持できたことにまずは感謝。そして、仕事の方は、特に対面の仕事が殆どないまま、不本意な1年だったが、いい出会いと交流があったりして、新年度は、また、いい仕事ができるかもしれないという希望を持てるような兆候がある。
新潟で訪問した森林組合の参事は、10年前、群馬県での研修で、私が担当する「経営管理者コース」を受講したとのことだった。彼は、その頃、30歳代半ば、管理職に抜擢されたばかりで、私の研修内容を参考にして、すぐに「経営理念」や「経営方針」を策定、それらをベースに、そこから広域合併組合にありがちな、数々の経営課題を一つ一つ改善してきたということだった。
「とにかく、きちんと地域貢献ができる、いい森林組合にしていきたいのです」と彼は言った。いい森林組合であるためには、いい人材がそこにいないといけない。森林組合が、組合員サービス業、森林サービス業である以上、人という経営資源が、より重要になるのは当然のことだ。彼は、それをよくわかって、現場技能者を含めた人材に対するさまざまな投資を10年間続けてきたのだ。
彼のような経営管理者=リーダーがいると、森林組合の将来も明るいなと思いながら、翌朝、長岡を後にした。そして、彼の経営管理者としてのスタートの際に、群馬での私の研修が位置づけられていたことを、とても嬉しく思った。彼のような優れた管理者を応援・鼓舞することも、私の重要な事業領域であり、そのことが、事業体にとって最も有益なことなのだと、今回の出張は、そのことを改めて実感した機会になった。新年度、かつて研修や助言などで出会った人たちと再会し、その後の取り組みの成果やその人自身の成長ぶりに触れて、さらに、これからの展望を語り合う機会がいまから楽しみである。それは、おそらく自分自身にとっての「収穫」にもなるのだろう。
株式会社フォレスト・ミッション 代表取締役、林業経営コンサルタント、経済産業大臣登録・中小企業診断士
我が国における林業経営コンサルティングを構築した第一人者であり、これまで460超の林業事業体の経営コンサルティングに携わる。2015年から、活動拠点を東京から信州・蓼科に移して活動中。