フォレスト・ミッションBLOG

林業の産業としての自立、そして林業に従事する人たちが誇りを持てるように、私たちは、自らが信じる、森林・林業のあるべき姿を、林業関係者の皆様と一緒に創造していきます。

未分類

兵庫バイオマス発電の事業停止に際して思うこと その1

投稿日:

 

 兵庫県で6年前に稼動をスタートさせた、木質バイオマス発電所が、クリスマスイブの一昨日、事業を停止した。休止ではなく停止である。そして、昨日、12月25 日、「兵庫モデル」といわれた、このバイオマス発電の主体である、兵庫県・兵庫 県農林機構(旧みどり公社)、朝来市、兵庫県森林組合連合会、関西電力の五者協議会が解消となった。協議会の解消と事業停止自体は、先月30日に公表済みで、大手メディアでも報道され、関係者の間で衝撃が走っていた。

 新聞・テレビなど大手メディアの報道の見出しやヘッドラインは、おしなべて「 ウッドショックによる木材価格の高騰」を前面に出している。要するに、コロナ禍の後にやってきた「ウッドショック」によって、国産材の価格も高騰し、バイオマス発電所に燃料を供給している、「チップ工場」がその原料である原木を集めきれなくなり、発電して売電できなくなった発電所が事業停止となったという論調にな っている。関西電力も兵庫県も、「森林組合連合会から事業撤退の申し出があったので、協議会解消に至った」という説明もなされている。

 神戸新聞の記事では、兵庫県森林組合連合会のコメントとして、「木材価格の高騰が当分収まらないと判断して、断腸の思いで撤退を申し出た」と書いている。要 するに、「森林組合連合会が燃料用チップを契約通り供給できなかった」のが、バ イオマス発電所の事業停止の主要因ということになっている。これを受けネット上も含め、「官民一体でやろうとしたこと自体が間違い」とか「何かの利権絡みだったのでないか」等のお決まりのバッシングや、「バイオマス発電事業というビジネス自体がも うダメ」といった極論まで、「後出しジャンケン」気味の批判や意見が出ている。

 林業関係者も含め、したり顔でこの事象を批判することは誰でもできる。また、 既述のように、当事者間でも、兵庫県森林組合連合会(以下、兵庫県森連)のせいにして、それで幕引きにしようとしている様が窺える。報道の範囲では、新たな売 却先や事業譲渡先はこれから探すという。関西電力(厳密には、子会社)がほぼ6 年間取り組んでダメだった事業に、他のどんな企業が手を出そうというのか、また、事業停止の主要因となったという「燃料用チップ」の安定供給ができる事業者が、兵庫県森連以外に存在するのか、いくつも根本的な疑問がある。その道筋を明確にせずに、国のFIT制度のもとで、国・県の補助金や融資制度を使い、関係者合意のも とにスタートさせた事業を投げ出していいのだろうか。

 この問題について、林業側に軸足を置く者として、また、当事者である兵庫県森連をよく知る私自身が、沈黙することは到底できない。だからといって、一 方的あるいは盲目的に山側だけを擁護するつもりもなく、事実関係を踏まえて、自分なりのきちんとした考え方や見解を何回かに分けて書くことにした。

-未分類

関連記事

久々に千葉での対面セミナー

 先週金曜日は、オンラインではなくて、対面でのセミナーだった。千葉・東金の木材市場の事務所がある建物で、2時間ばかり、林業関係者に「事業体経営からみた安全管理」というテーマで話をした。昨年度まで、チー …

久しぶりに日吉町森組を訪問

 昨日・今日と、関西で活動し、今日は2年半ぶりに、京都・南丹市の日吉町森林組合を訪問し、湯浅勲組合長と再会し、いろいろと語り合った。最近、完了した搬出間伐の現場も案内していただいた。湯浅さんとは、今か …

バブル期は遥か昔の幻想か

 新幹線や飛行機での移動中に読もうと思い、先日、桐野夏生著の「真珠とダイヤモンド」(毎日新聞出版刊)という上下本を購入した。バブル期の証券会社を舞台に、バブル経済に狂奔した時代とそれに翻弄された若者の …

no image

健康こそが最大の経営資源

 長引くコロナ禍は、我が国の経済や国民生活に大きな影を落としている。仕事の態様や生活様式まで、すっかりと変わってしまい、戸惑っている間に、事態はさらに深刻になっていく。この先、一体どうなるのか、誰も予 …

「男と女」はもう歌えないのか

 「男と女」という曲は、1982年にリリースされた、チャゲ&飛鳥の名曲である。「黄昏の騎士」というアルバムに収録されている。我々の世代のど真ん中の曲で、私自身、この曲には思い入れが強い。もう30年前余 …