今年初めての出張ということで、午後一番のあずさ号に乗り、茅野→立川→西国分寺→武蔵浦和→大宮→新白河という行程で、午後5時前に、福島県の新白河駅に着いた。今日は前泊で、明日、古殿町というところで、林野庁事業の現地検討会があり、それに委員として参加することになっている。公費でもって、いろいろなところに行き、森林・林業の実情を聴き、また、新しい取り組みの状況を見聞することができて、大変有り難いことだと思っている。
ここに来る途中、特に、JR武蔵野線や埼京線の車内で、どのくらいの人がスマホを使っているのか、改めてチェックしてみたのだが、標準地調査の手法でいくと、だいたい、7人に5人はスマホをみていることがわかった。比率にして71%である。日曜日ということで、平日はもっとその比率が上がるのだろう。新聞なんかを広げている人は皆無であり、高齢者でも2人に一人くらいは、スマホを一心不乱にみている。文庫本など、読書をする人も殆どいない。
私が放送局の東京支社に勤務していた頃、まだ、携帯電話がなかった頃だが、山手線や地下鉄の車内では、新聞を広げて読む人が半分くらいいて、単行本や文庫本を読む人、あるいは、資格かなにかの本で勉強している人、これは若い世代が多かったが、まず、8割くらいは、新聞か本を読んでいるのが普通の風景だった。ウォークマンなどというものがあり、それで音楽を聴きながら本や雑誌を読む人もいた。それが、1990年前後のことで、あれから30年余り経ち、その間、ポケットベル(通称ポケベル)がほんの数年間流行し、その後、携帯電話(いわゆるガラケー)が普及、スマホの時代となる。
日々のニュースは、随時スマホでチェックし、仕事や友人、家族との連絡もラインなどですませる。そうなると、駅の売店で新聞や雑誌を買って電車の中で読むなどという習慣はほぼなるなるのは当然のことだ。新聞の発行部数が激減しているのも当然のことだし、自宅に帰ってからテレビも視ないというのも頷ける現象だ。テレビを視ていなくても、ワイドショーで誰それがこういうことをコメントしたという内容が、ネットニュースでチェックできるので、別にテレビの前に座って視る必要などないのだ、そんなことをしているのは、殆ど自宅にいる高齢者くらいのものである。
7人に5人は、ずっとスマホをみているということになると、世論というものを形成しようとすると、おのずとそこに情報発信していくことになる。もはや、新聞やテレビといった「オールドメディア」で、世論を造っていくことができない時代になった。忙しくスマホで情報をチェックするマジョリティたる人たちに向かって、タイムリーな情報発信をしていくことで、流行や世論のようなものを創出することができる時代…、私なんかも、そのシーンに居続けることにかなり無理をしているところがある。昭和の時代は良かったなどと嘆息している場合ではないが、本当にそれでいいのかという思いを拭いきれずに、宙に足がつかないような感じで、高度だが脆弱で危うい情報化社会という大海を泳いでいるような気がする。
株式会社フォレスト・ミッション 代表取締役、林業経営コンサルタント、経済産業大臣登録・中小企業診断士
我が国における林業経営コンサルティングを構築した第一人者であり、これまで460超の林業事業体の経営コンサルティングに携わる。2015年から、活動拠点を東京から信州・蓼科に移して活動中。