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兵庫バイオマス発電の事業停止に際して思うこと その2

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 今回、チップ事業から撤退を申し出て、それがバイオマス発電所の事業停止になった、当事者である兵庫県森林組合連合会(以下、兵庫県森連)と知り合ったのは、今から17年前、2005年秋のことである。当時、私は、神戸を拠点に活動をしていた。事務所が近かったこともあり、また、林業関係の仕事を受注したり、こちらかも紹介したりして、私が東京に拠点を移す2009年秋まで、4年間くらいとても親しく、またいい関係だった。そして、その関係性は遠く離れた今でも変わっていないと思っている。

 さて、最初に指摘しておかなければならないこと、それは、兵庫バイオマス発電の事業停止の主要因といわれる「ウッドショックによる木材価格の高騰」という表現は、正しくないということだ。確かに、ウッドショックによって、我が国の木材価格は上昇した。前にも書いたように、原木ベースでざっくりと3割~5割程度である。我が国におけるウッドショックの期間は、概ね、2021年初めから1年半程度、今年の夏くらいまでだった。

 大手新聞社を含めて、メディアはきちんと取材をして欲しいと思う。私も報道記者の経験者だから、なおさらそう思う。事実関係を踏まえるならば、「バイオマス燃料用の木材価格の需給関係による高騰」と書くべきである。ウッドショックは、基本的に関係はない。林業関係者ならば、殆どの人がそのことをよく知っている。兵庫バイオマス発電のケースでいえば、ウッドショックの引き金となったコロナ禍が発生する2019年秋のはるか前から、チップ用の原木価格は、すでに「チップ材ショック状態」だった。

 いわゆる兵庫モデルによる朝来市のバイオマス発電所が稼働を開始したのが2016年12月、本稼働は2017年4月からである。バイオマス発電所の先行地域である九州南部では、その時期にはすでに、複数のバイオマス発電所が稼働していて、燃料用チップの奪い合いになり、原木ベースの価格で8,000円/tを超えて取引されることもあった。A材やB材の価格が低迷していた時でも、燃料用チップようのCD材は需給関係によって高値で推移していたし、それは現時点でも変わらない。

 2016年の秋頃、稼働直前でまだ建設中だった兵庫バイオマス発電所とチップ工場、土場などを見学させてもらったことがある。兵庫県内で仕事があり、そのついでに兵庫県森連の職員に案内してもらった。発電所とチップ工場が同じ敷地内で連結していて、原木の土場も敷地内にあり、すでに結構な量の原木が積み上がっていた。「2万t程度は貯木できる」とのことだった。そして、その年の12月からバイオマス発電所が稼働開始となった。

 

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