今年の盆休みは、異常に長かったが、私自身は涼しい蓼科にいて、仕事関係の資料を作成したり、好きな本を読んだり、ギターの弾き語りをしたりして、この長い盆休みを過ごした。そして、盆明けの出張や仕事の期間を含め、この20日間ほど、自分の事業領域やその中での使命感というものを、改めてじっくりと考える期間になった。つまり、これから自分はどこに行こうとしているのか、マーケットから何を求められているのか、何をするべきなのか等々ということだ。
経営コンサルタントの活動を始めて丸20年、林業の経営コンサルティングや人材育成に携わって16年、今更何を考えることがあるのかという向きもあるが、そこは生身の人間、日々葛藤があり、自分自身と対話しながらベターな判断をして行動してきた経緯がある。外見的には、そんな葛藤を常に抱えている人間には見えないし、自分でいうのも何だが、先月62歳となり、経営コンサルタントとして、最も充実し力が発揮できる年齢になって、そういう空気も醸し出している感がある。昨日の東京での民間事業体の経営者向けの講演などは、おそらく「坪野節」全開の内容だったと自負するところもある。
この20日余り、自分自身と内面で対話してきた結果として、「私には、この林業界において、明確にやらなければならないことが残されている」ということを確認した。明確にやらなければならないこと・・・それにはいくつかある。林業再生・人材育成・事業体支援・支援者の育成等々、これらは、自分がこの業界を去るまでやり続けなければならない。
今回、確認したのは、それらの活動のベースになる考え方というか思想のようなものである。言葉にすると、「正しいと確信することを行動に移していく」ということだ。この正しいという言葉も、かなりの部分において主観的であり、いきおい、その幅も広くなってしまうが、まずは、自分自身が正しいと考えること、そして相手が正しいとすること、これらが交差するところの「正しさ」を追求することで、おのずと私がやるべきことが見えてくると思っている。
多くの林業関係者の人たちに言いたい。悩みや葛藤があれば、あるいは別になくても、「坪野さん、いろいろと話をしましょう」と声をかけて欲しい。別に、経営や施業、人材などのことでなくてもいい。私の任務は、この業界の人たちの「良き相談者(メンター)」として、問題解決なりを一緒に考えていくことなのだ。そして、それが私自身の「居場所」であり、事業領域の最たるものなのだとつくづく思うのだ。
株式会社フォレスト・ミッション 代表取締役、林業経営コンサルタント、経済産業大臣登録・中小企業診断士
我が国における林業経営コンサルティングを構築した第一人者であり、これまで460超の林業事業体の経営コンサルティングに携わる。2015年から、活動拠点を東京から信州・蓼科に移して活動中。