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市町村は企画・事務を担い、プレーヤーは林業事業体

投稿日:2019年8月7日 更新日:

新たな森林管理システムにおける主体は、市町村になるということが、森林経営管理法で位置づけられている。林業の専門官が殆どいない中で、どこまで主体になっていけるのか、困惑している市町村が多いことだろう。森林整備のための公的資金(森林環境譲与税)が交付されるのは、財源確保に苦悩する市町村にとっては、干天の慈雨のようなもの、それも永続的なものということで、腰を据えて管内の森林整備等に取り組める。

しかしながら、地域の森林や森林所有者のことを知悉しているのは、多くの場合は地元の森林組合であり、ずっとそこで林業をやってきた民間事業体である。国は「意欲と能力のある経営体」と位置づけて、従来の森林経営計画による森林管理と合わせて、市町村管理になる私有林の整備・管理の担い手としている。つまり、その地域に、能力と資本装備を備えた林業事業体が存在し、森林整備や木材生産を適正に進めていけるのかというところに、新制度の成否がかかっているということになる。

それでは、市町村は何をすればいいのか。もちろん、その地域の森林資源の状況や森林所有者の意向もあろうかと思うし、譲与税はふんだんに交付されても対象となる森林が殆どないといった大都市もある。その取り組みは、一律ではなく、限りなく多様なものになる。但し、私見でいえば、市町村の人たちは、必ずしも森林・林業の専門家になる必要はなく、地域の森林をどうしていくのか、あるいは森林資源をどう活かしていくのかといった明確なビジョンを描き、そのための企画、そして事務的なところ=兵站を担うべきである。

森林組合や森林組合連合会、そして有力な民間事業体には、適正な森林整備・管理を進めていくためのノウハウが集積されている。地域に対する貢献意識も持っているだろう。彼らが新しいステージにおけるプレーヤーであり、市町村はその活動を最適化していくための後方支援をする者(しゃ)ということになる。もちろん、それには信頼関係が必須になる。そして、事業体が頑張るためには、きちんと利益のとれる事業が必要であり、事業を継続して遂行していくためには、健全経営という前提が必要になる。

私自身の役割は、そういった取り組みを、自らの事業領域においてサポートしていくことであり、この方向でやろうという意思決定なり、その実行体制の構築なり、実行そのものに対して、少しでも有用な助言をしていくことだと思っているところだ。

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