中学1年の春、ラジオから流れてきた、いわゆるフォークソング(吉田拓郎・イネージの詩)に啓発され、無性にギターが弾きたくなった。当然ながら、ギターを買うお金がなかったので、ゴルフ場のキャディのバイトをして、半年後に1万5,000円でフォークギターを買って、毎日のように練習した。以来、55年間、ギターは代替わりしたが、ずっとギターの弾き語りをしている。私がギターをやり始めた頃は、猫も杓子もギターに熱中したものだが、殆どの人間は、その後、挫折したり、他の趣味に走ったりして、続くことはなかった。プロ以外で、性懲りもなく55年間、欠かさず引き続けている人間を、私は寡聞にして知らない。
55年もやっていると、それは、趣味の域を超えて、一種の営みとして日常に根付いている。我流なので、技術的には、大したことはないが、少し胸を張っていえるのは、300曲近いfavorite songを歌詞や楽譜をみずにフルコーラス、弾き語りができることだ。今、愛用しているのは、今から12年ほど前に、渋谷の楽器店で買った、MartinD-45という「名器」である。これまで2回、専門の修理者に不具合を直してもらい、大事に弾いている私の「宝物」である。そして、もう1台、ovationのエレアコも、なかなかいい音を出している。このギターは、東京にいる頃、今からもう18年ほど前になるが、秋葉原の楽器店で購入したもので、ボディback(背面)に、リラコードという合成樹脂を使ったギターだ。

目下、自室には、これら2台のギターしか置いておらず、時間があれば、どちらかのギターを手に取り、ローランド(BOSS)のギターアンプに繋いで、ヘッドフォンをして、弾き語りを専らやっている。最近、あるギターに目がいき、久しぶりに購入しようかと思ったのだが、使い慣れたギターの弦を替えると、どちらもいい音を鳴らすので、購入するのはやめて、もう暫く、2つのギターを使っていくことにした。何しろ、自室は狭く、空間を利用して2つのギターを収納しているのだが、さすがに3台目を置くスペースがない。もう1台となると、このどちらかを処分しなければならなくなる。MartinD-45は12年の付き合い、そして、ovationCC-22は20年の付き合いになる。これだけ長い間、一緒にいると愛着が深くなり手放せなくなるものだ。ゴルフクラブもそういう傾向があるが、ギターへの愛着は、それとはまた別種のものだと云える。
株式会社フォレスト・ミッション 代表取締役、林業経営コンサルタント、経済産業大臣登録・中小企業診断士
我が国における林業経営コンサルティングを構築した第一人者であり、これまで470超の林業事業体の経営コンサルティングに携わる。2015年から、活動拠点を東京から信州・蓼科に移して活動中。