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大恩ある、千玄室大宗匠が逝去

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 裏千家の前の家元で、大宗匠である、千玄室氏が本日未明に逝去された。享年102歳、まさに大往生、その報に接し、何ともいえない気持ちでいる。千玄室大宗匠は、学生時代からの親友(私がそう思っているだけかもしれないが)だった、伊住(千)政和君(故人)の父である。私は同志社大学の学生時代を中心に、玄室大宗匠や登三子夫人(故人)には、大変、お世話になり、いろいろなことを教わり、未熟そのものの若者を、二男の同級生というだけで、微に入り育てて下さった。まさに大恩ある「恩師」だ。

千玄室大宗匠(享年102歳)

 千玄室大宗匠に初めてお目にかかったのは、1978年5月のことだった。同志社大学文学部文化学科文化史学専攻2回生の時、同級生だった千政和君と英語の授業で知り合い、趣味が「プロレス」ということで意気投合し、ある日、「自分の家に来てくれ」といわれ、ついていったところが、京都市上京区にある裏千家だった。それまで、彼のことを、千という名字から「中国か韓国の留学生」と思い込んでいた私は、彼が茶道の千家の人だと知って、腰を抜かさんばかりに驚いたのだ。そこへ、ちょうど、父上の千宗室家元が現れて、私に向かって「きみが坪野くんか、政和から聞いとるで」と気さくに声をかけて下さった。その後、裏千家内にあるご自宅に招かれたのだが、母上の登三子夫人も交えて、どんな話になったのか、記憶がないくらい、私は止め処もなく緊張していたのだろうと思う。

 それから、政和君が亡くなる、2003年まで25年間、私は彼の友人ということで、裏千家に出入りさせていただいた。その間、本当にいろいろなことを教えていただき、また、人間としての生き方、人生そのものの考え方などについて、未熟な私を「社会人としての躾け」も含めて育てて下さった。玄室大宗匠は、どこまでも偉大な方で、また、寛容な方だった。私は若き日に、大宗匠からとても多くのことを教えていただき、その種子はこの歳になって果実となって息づいているという実感を持っている。そして、その声、その所作は、私がこの世に生き続ける限り、私の内面に存在し続けるだろう。いつか、私も伊住政和君や千玄室大宗匠がいらっしゃるところの近くに往く時がくるだろう。その時、大宗匠は、初めてお目にかかった時のように、気さくに「きみもこっちに来たんか」と声をかけてくださるかもしれない。その時が来るのを励みにして、もうしばらく、この世の中で、社会のために役立つことを少しでもやっておきたいと思っている。

 

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