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この職業を四半世紀やってきて

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 私の職業は、経営コンサルタント、しかも、国家資格を持った者ということになっている。そして、私は、森林・林業に専門化した、「林業経営コンサルタント」と名乗り、他の業種の支援を一切やらないということで、希有な存在であり、自分としては、前にも書いたように、林業における経営や事業運営に関する、経営者や従事者の「助言者」「よき相談相手(メンター)」でありたいと思っている。但し、自分自身は、林業の担い手ではなく、森林組合や民間事業体等、森林を整備し管理していく団体や企業、そこで働く人たちに、助言をしていく「後方支援者」である。だから、必要以上に前には出ない。裏方でいいのだ。

 どの業界・業種にも自己顕示欲の強い人がいる。支援する側がいつの間にか、前面に出て、スター然と振る舞う現象も、これまでの長いビジネス人生で嫌というほど見てきているし、その結末もみてきた。人間は、「その器以上の仕事を遂行することはできない」というのが持論で、自身が置かれた立ち位置や役割を十二分に弁えた上で、ことにあたることがとかく肝要だ。できもしないことを「やってみせる」とイキがったりしても、結果は自らの未熟さを思い知ることになり、但し、そこで真摯にまた謙虚に反省し改善できる人間であれば、その苦い体験が、自らの器を大きくしていく糧となっていくのだろう。

ある日の日の出の風景・・・朝の来ない夜はない

 中小企業診断士の資格を取得して、経営コンサルタントとして駆け出しの頃、私は一日も早く、一人前のプロコンサルタントになりたいという想いが人一倍強かった。いきおい、能力的に無理そうな案件にもチャレンジし、結果、付け焼き刃の知識やスキルでは全く通用せず、恥をかき、敗北感に打ち拉がれたことが何度もあった。中小企業診断士の資格を取得したのがすでに41歳で、年齢的にも、そこそこ「自分はやれる」といった自負心や負けん気も、また焦りもあっただけに、それが通用しなかったことに大きなショックを受けた。

 あれから四半世紀の歳月が経過し、私は外形的には、「ベテラン」の経営コンサルタントとして、今日も森林・林業界において活動を続けている。幸いにして、一緒に仕事をしてくれるパートナーがいて、仕事そのものがやりやすくなっている。私は私に課せられた使命というか役割を、一回一回の案件や取り組みの中で遂行していっており、そこには、駆け出しの頃のような「気負い」や「自負心」あるいは「野心」などは殆ど意識をしていないし、潜在的に存在しているとも思わない。但し、自分は助言者であり、助言というものは、全て「言葉」で遂行するもので、その言葉については、対象者やその場の状況に応じて、より適正なものを選択しながら発していくようにしているという自負はある。

 経営コンサルタントという業種が、テレビ局と並んで、「大したことはない」と世間から糾弾されている。自慢にもならないが、私はその両方を経験してきた人間である。しかしながら、両業界において、苦いものを含めて、とてもいい経験をさせてもらったという実感がある。特に、後半生を投じた経営コンサルティングについては、森林・林業という、ある意味特異な業種に専門化し、そこでたくさんの実績を積ませてもらいながら、20年以上に亘って、第一線で活動させてもらっていることに感謝をしなければならない。今後も、自分自身の立ち位置、期待される役割というものを踏まえて、マーケットにとって有益な「助言者」として活動していきたいと思っている。

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