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「施業現場をみる」ということ

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 経営コンサルタントとして、森林・林業界に関わって、丸20年になる。その嚆矢は、2003年11月に和歌山市内で開催された、和歌山県森林組合連合会主催の経営管理者研修に講師で呼ばれたことだった。1999年から経営コンサルタントとしての活動を始めたのだが、それまでの4年あまりは、京阪神の中小企業、製造業、サービス業、小売業・卸売業などに対して、経営改善などの助言をしていた。特に、中小企業の経営再生の泰斗である、森井義之先生のご指導を仰ぐようになってからは、中小企業の再生支援に関心を持ち、その専門家になるべく、自分なりに研鑽を重ねていた時期だった。

 林業に関わるようになって、育林や木材生産の施業現場にも足を運ぶことが多くなった。しかしながら、森林や林業の門外漢である私には、現場で飛び交う専門用語の意味がさっぱりわからない。それで、現場を案内する実務者に、いちいち尋ねては、覚えるということを3年ほどやっていたら、林業言葉や林業機械の名前や機能について、一通りの知識を得ることになった。仕事で報酬をいただきながら、勉強をするというのは、甚だ恥ずかしいことではあるが、現実として、経営診断や助言の一環で、多くの施業前の現場、施業中現場、完了現場などを実際に見聞できたことは、自分自身の血肉になっていると思っている。

 施業現場をみるという点で、自分自身の財産になっているのは、森林施業プランナー育成事業で、森林管理や森づくり、路網開設、間伐技術などの実務者や研究者の先生方と一緒に現場に行き、彼らがプランナー研修の受講者や現場の技術者らに指導する一部始終を目の当たりにできたことである。勿論、座学の講義でも、私自身が学ぶことがとても多かった。藤森隆郎先生、酒井秀夫先生、日吉町森林組合の湯浅勲参事(当時)をはじめ、多くの人たちと講師仲間として交流し、その知見に触れたことは、本当に得難い貴重な体験だったと思っている。

 それ以降、自分自身が林業事業体の経営支援等で、施業現場に赴く時の行動基準というものが、ずいぶんと整ったという実感がある。まず、私は林業の技術者ではなく。当然、技術を指導する専門家ではない。従って、施業や路網などの技術について語ることはしない。これが原則である。では、何を目的に現場へ行って、何をみるのか。完了現場であれば、施業の目的、事業収支、その現場での作業システムとコストの把握、直面した問題点と講じた対策等、一通りは聴いたりする。当然のことである。それに加えて重要なことは、私有林であれば、森林所有者の意向も踏まえた上で、どのような考え方で、どのような設計をして、将来の目標林型をどのように定めて施業したのかというところである。

 私は、あくまでも経営コンサルタント(中小企業診断士)である。林業の実務者ではない。従って、林業の技術論を語ることはできないし、それは、現場での施業を遂行している技術者に対して甚だ僭越なことになる。我々が語るのは、あくまでも自分自身の守備範囲(事業領域)内においてのみになる。但し、そうであっても責任を持って語るには、林業に対する正しい知識と他の事例も含めた多くの引き出しが必要になる。だから、現場に行って、実務者や研究者の人たちと語り合うのは、とても貴重な機会になる。

 いま、とても楽しく有意義なものとして、若手の経営者や技術者と一緒に現場に行き、実際取り組む施業について、真剣に語り合う時間がある。彼らは、私のことを「先生」と呼んでくれるが、現場の施業に関しては、私はいまだに「部外者」であり、一経営コンサルタントに過ぎない。施業などの技術については、彼らはプロフェッショナルであり、こちらは、いちいち、細かいことまで彼らに教えてもらうことになる。それに、若い人たちには、昔、木材価格が高かった時代の成功体験がなく、厳しい現実の中で、林業に向き合っているという事実があり、その現実を共有しながら、物事を具体的に進めていくということに、自分自身もやり甲斐と自身の存在理由を感じているところだ。大恩ある森井先生は、現場に行く意義を、「現場に行き、現実を知り、現物をみて、現況を測る」という、経営コンサルタントの「四現主義」を、私にそれこそ支援の現場で教えてくださった。今後も体力の続く限り、現場に足を運んで、多くの人たちと森林や林業、さらに人生観などについて語り合いたいと思っている。

 

 

 

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