明日から、新年度ということで、今日は、その新しい展開に希望を持って、静かに一日を過ごすことにしている。時あたかも人事異動の時期であり、先だってから、仕事関係でお世話になった人から、異動や転職の連絡が入り、まずは、「人の動き」というものを実感することになった。仕事というものは、人が企画し実行するものであり、また、組織的であっても、人が人に受け渡すものである。その意味で、仕事をやり取りする人との人間関係は良好であることに越したことはなく、信頼関係が深ければ深いほど、仕事の品質は向上するものだ。
株式会社フォレスト・ミッションは、今から16年前の2007年7月に設立した。1999年に中小企業診断士に登録し、その年の4月から、私は経営コンサルタントとしての活動を始めた。その時、41歳だった。支援対象としての森林・林業と初めて遭遇したのは、2003年の10月、和歌山市で開催された、和歌山県森林組合連合会主催の「森林組合経営管理者研修」だった。その時は、中小企業の全業種を支援の対象としていて、最も力を入れていたのが、「中小企業の事業再生」というテーマだった。
その研修会が契機となり、数件の林業案件を遂行し、森林・林業における私の活動は、2005年から全国規模となり、2007年にフォレスト・ミッションを設立し、森林・林業専門の、いわゆる「林業経営コンサルタント」として活動することになった。それからは、林業(裾野産業として木材加工業を含む)以外の業種を支援したことはなく、ひたすら、森林・林業という業種に専門化し、一貫して、経営コンサルタントとしての活動を続けてきた。
20年に亘る森林・林業における活動の中で、実感しているのは、仕事を遂行する上での、支援や助言の対象となる人達との人間関係・信頼関係の重要性ということである。これは、「森林・林業に業種特化している」という実態があればこそのもので、元来、不器用な私は、「他の業種のついでに林業も支援している」というスタンスは、ついぞとれず、いくぶん、「やせ我慢」をしながら、この業界に関わってきたというのが正直なところだ。個人的には、新年度からは、やせ我慢はしつつも、その中に「楽しさ」と「愉しさ」を追求していきたいと考えている。
コロナ禍もやっと沈静化し、対面での支援活動も全面解禁という状況になりつつある。この3年間の反動が、新年度に一気に到来するとは思えないが、林業界においても、主伐・再造林の取り組みや、労働力不足対策、事業体育成、人材育成といった喫緊の課題に手を緩めることは許されない。20年間、営々とこれらの課題に向き合い、サポート・助言をしてきた私の出番もまた、増えてくるものと期待しているところだ。明日からの新たな展開に、気持ちも新たに向き合っていきたいと思っている。
株式会社フォレスト・ミッション 代表取締役、林業経営コンサルタント、経済産業大臣登録・中小企業診断士
我が国における林業経営コンサルティングを構築した第一人者であり、これまで460超の林業事業体の経営コンサルティングに携わる。2015年から、活動拠点を東京から信州・蓼科に移して活動中。