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新年の想い・・・未熟の晩鐘

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 年を追うごとに、師走や正月といった雰囲気が薄れてくる。その中で、新しい1年を迎え、また1つ歳をとる。人間の成長は、一般論では時間が経つ速さに追いつけない。そのギャップが「未熟」「未完」といった言葉で表現される。その文脈では、人間は一生未熟であり、それは、おそらくこの世を去るときまで、その状況は終わることはないのだろう。

 小椋佳というシンガーソングライターの曲は、中学1年の時からもう50年近くずっと聴いている。この人は、銀行員との兼業時代から「知の彷徨」をしている吟遊詩人だと評価し、面識はないが、密かに尊敬している人だ。一ファンといってもいい。この人は「シクラメンのかおり」とか「愛燦燦」といった超名曲をいくつも世に送り出している。私が個人的に好きなのは、初期の頃のアルバムに収録されている曲で、「旅支度」「心の襞」「花化粧」といった曲だ。

 その小椋佳さんの最近の曲に、「未熟の晩鐘」というものがあって、その詞の中に次のようなフレーズがある。「未だ 教えを 説く期 熟さず 悟りとは 無縁の 未熟を愉しむ」私なりに解釈すると、「歳をとっていろいろな経験を積んできたけど、人に教えを説く時期はまだ熟していない。むしろ、そういうものとは無縁の未熟というものを自分自身が愉しんでいるところがある」となる。

この道はどこに続くのか

 自分自身、人間としてもビジネスマンとしても、そして指導者としても、また、生活者としてもまだまだ未熟だということを、歳を重ねれば重ねるほど、活動を深めれば深めるほど痛感し、また、その先のあるべき姿に向かうという営みをずっと続けているような気がする。そんな未熟者の私にとって、小椋佳さんの「未熟の晩鐘」のフレーズは、ずっしりと心の中に根を下ろしている。

 我が国の林業という業界も、他の業界同様、まだまだ未熟な業種である。特にビジネスという側面ではそれが顕著だ。しかし、その未熟さ、至らなさを自覚し、あるべき姿に向かって改善の努力をしていけば、もっと良くなるという希望がある。その点、未熟を恥じることなく、明確に認識して、前に向かっていく行動こそが重要だと考えている。「終わりなき改善の取り組み」が、また新たな希望を生み、前進するためのエネルギーを創造していくのだと思う。

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