フォレスト・ミッションBLOG

林業の産業としての自立、そして林業に従事する人たちが誇りを持てるように、私たちは、自らが信じる、森林・林業のあるべき姿を、林業関係者の皆様と一緒に創造していきます。

未分類

森林組合はきちんと本業で儲けなければならない

投稿日:2019年10月20日 更新日:


ある森林組合の事務所(長野県)

 いまから9年前、「森林・林業再生プラン」森林組合改革・民間事業体育成検討委員会の席上、委員だった私は、多くの委員が、我が国の私有林において森林整備が進まないのは、森林組合がきちんと本業に取り組まないからだと、森林組合叩き(バッシング)に傾斜する中で、「森林組合を苛めても何も始まらない。彼らを励まし、背中を押してこそ森林・林業再生が前に進むのだ」と発言した。そのあたりから、「イコールフッティング(森林組合と民間事業体を同じ土俵で扱う)」という論調は後退し、森林経営計画や集約化施業など、もう一度、森林組合に任せてみようという流れになった。

 一見、森林組合を擁護する発言だとされてしまうかもしれないが、その根底には、現状(その後も殆ど変わっていないが)で、森林組合の本業である、組合員のための森林整備が受託事業という、費用に対する手数料しか入ってこない取引形態で実施されており、ビジネスとしてはまともに成立し得ないものになっているという事実がある。現実として、多くの森林組合は、受託事業よりも粗利益率が高い国有林や旧公団等からの請負事業に、いまだに重きをおいて取り組んでいる。それは、経営を持続させていくためには仕方のないことでもある。

 受託事業における手数料(造林手数料)は、現場でかかった費用に対して10%~15%程度、搬出間伐で木材販売が伴えば、販売手数料として7%~10%程度、木材売上に対して設定してるのが実態である。但し、そんな程度の手数料で、事業体として必要な一般管理費をまかない、かつ利益を確保できるかというと決してそうではなく、さらに搬出間伐では、組合員にいくらかでも収益還元をしなければならず、森林組合側に残るお金はごくわずかで、一般管理費さえまかなえないのが実情だ。

 「そんなに儲からないというのであれば、手数料自体を上げたらどうですか?」と、これまで、経営診断等で、森林組合の経営者達には助言をしてきた。10%を20%にすれば、それだけ管理費見合いの粗利益が増えることになるからだ。それは理事会で決議すればいいことであり、事務側の人件費や業務に付随する諸経費が上がっていることからも、正当な措置だといえる。販売手数料もそうである。

 ところが、手数料を上げるとなると、その分、現場のコストを縮減しないと、組合員に還元ができなくなり、おのずと、生産性の向上というものが必須のものになる。そこがセットにならないと、この方式が進まないのだが、どうもそこがうまくいっていないのだ。事務側と現場側の利害が一致しなかったり、現場での生産性向上を謳い文句にしても、現状の林業機械や作業システムでいくら頑張っても、目標とするレベルにはいかなかったりする。

 その点、京都・日吉町森林組合は、組合員の森林の整備や木材生産だけで、組合員にお金を返しながら、きちんと経営を続けている。それに続いて、頑張っている森林組合もたくさんある。しかし、彼らはまだまだ少数派であり、他の森林組合からは特別視されている部分も否めない。そこそこの私有林が管内にあって、木材生産が可能なところは、本業(組合員の仕事)で、管理費をまかなえて、かつ適正な利益(事業利益)も確保できるような形にならないといけないと思う。本業できちんと儲けるようになること、これが森林組合における最大の課題の1つである。

-未分類

関連記事

no image

より深く、より高く

 昨日と今日、山梨県で開催した、「経営力向上事業」では、県内から集まった林業事業体の経営者・経営管理者に対して、経営コンサルタントとして20年余りの期間で培ったノウハウを駆使した講義や実習などを提供し …

『なごり雪』を聴く季節

 2月もあと2日になった。外気温は、氷点下6度で、この辺りの寒さも緩んできた感がある。伊勢正三の名曲中の名曲、「なごり雪」メロディが自然と浮かんでくる季節になった。「春がきてきみはきれいになった。去年 …

父が天寿を全うする

父逝去、実家で数日過ごす(和歌山県・那智勝浦町にて)  24日に和歌山県・那智勝浦町の実家に移動し、そのまま滞在している。昨夜、2週間前から入院中だった父が、老衰のため逝去した。享年94歳だった。容態 …

岸田総理襲撃事件で考えたこと

 土曜日の昼前、仕事関係の資料を作成中、突然飛び込んできたニュースに驚きを禁じ得なかった。昨年7月8日、忘れもしない、安倍元総理の暗殺事件が奈良市内で起こり、今度は、隣県の和歌山市で、現職の総理が狙わ …

長く続けることの意義とは

 昨日は、福島県の古殿町での、「新たな林業モデル実証事業」の現地検討会に参加した。皆伐再造林の効率・低コスト化、原木のトレサビリティ明確化による付加価値の向上などに取り組んでいる。事業の主体となってい …