ゴルフの話で恐縮だが、日本で初めて開催された、米ツアーで、タイガーウッズが見事に優勝した。ありきたりな表現だが、私自身もタイガーウッズのファンである。フィル・ミケルソンも好きだが、あまりにエリート過ぎて、心底応援する気にはならない。タイガーこそが、愛すべき、そして尊敬すべきプロゴルファーだと思っている。今回の日本での優勝で、サムスニードと並ぶ82勝という最多優勝記録に並ぶという偉業を達成した。
周知の通り、タイガーウッズは女性問題などで社会的に叩かれ、体調を崩し、一時期は再起不能とまでいわれた。スポーツ選手であれ、アーティストであれ、芸能人であれ、プロフェッショナルは、自身の専門領域で輝いて、ファンやスポンサーの応援に応えるのが本筋である。それと関係のないことで、バッシングされて、本業の部分まで潰えてしまうようなことはあってはならないと思っている。タイガーは、グリーンの上で輝けばいいだけのことだ。犯罪行為はダメだが、プライベートなところまで世間の目に晒され批判されることはない。
どん底から、奇跡的に復活した尊敬すべきプロのアスリート、それがタイガーウッズだ。テレビでみる彼の表情には、ゴルフに対する情熱があり、また、自分の生きざまに対する「悟り」のようなものを感じた。その姿は、彼のショットと同様に、とても眩しく美しかった。その姿に感動した人はたくさんいたと思う。大きな挫折から這い上がって、また、第一線で活躍している。そのことに勇気づけられたり、励まされたのは私だけではないだろう。
昨日、自宅近くのゴルフコースで、目にも鮮やかな紅葉をみた。その鮮烈な美しさに感動したが、同時に、秋空に映える紅葉の赤に、タイガーウッズのゴルフへの情熱を重ね合わせた。赤は彼の勝負色である。今回のツアーの最終日も、赤のポロシャツを着用していた。そして、燃える情熱でありながら、何となく優しいのである。「優しさは強さの裏返し」といわれる。昔、角川映画のキャッチフレーズは、「男はタフでなければ生きていけない。やさしくなければ生きている資格はない」だったように記憶している。けだし、我々の世代の座右の銘である。
「強さとやさしさ」これらを両立することは、言葉ではイメージできても、実際はかなり難しい。私自身、62歳になっても、その域にはとてもではないが到達できていない自分を自覚している。タイガーウッズは、まだ43歳、私より19歳も年下であるが、タイガーの生き様から教えられることは限りなく多い。情熱を持って、自分自身に対する強さを持続させ、そして、人や物に対する優しさを忘れずに、仕事にも臨んでいきたいとつくづく思っているところだ。
株式会社フォレスト・ミッション 代表取締役、林業経営コンサルタント、経済産業大臣登録・中小企業診断士
我が国における林業経営コンサルティングを構築した第一人者であり、これまで460超の林業事業体の経営コンサルティングに携わる。2015年から、活動拠点を東京から信州・蓼科に移して活動中。