このところ、1つ1つの案件に向き合い、そのたびに、助言の対象になる人や組織が、出来るだけ前に進めるよう、あるいは、気持ちだけでも前向きになるよう、自らを鼓舞しながら、臨んでいるところだ。その組織にとって、自分はあくまで外部のもので、助言者という立場、その経営体の舵取りをするのは彼らである。それにしても、私が発する助言等の言葉は、その後の彼らの意思決定や行動に影響を及ぼすものだとすると、無責任なことは到底いえないのだ。
経営コンサルタントという職業名には、この職について以来、ずっと違和感を持ち続けてきたが、最近になって、「自分は経営者やそこで働く人たちに対する助言者」であるというところで、落ち着いてきたきらいがある。「指導」という言葉にも違和感があるが、相手と目線を合わせた助言ということであれば、自分自身も違和感なく、ことに臨んでいけるのだ。中小企業診断士の資格を取得し、この業を始めてからすでに四半世紀にもなって、やっと行き着いた境地であり、畢竟、何事も長年、積み重ねをしていかないと、わからないことが多いというものなのかと思ったりする。

それと、少し角度をかえて考えてみると、自分自身に課せられた、あるいは期待されている役割というものを自覚することになる。つまりは、「傾聴と助言」である。言ってしまえばメンター(良き相談相手」だが、「あの人に話を聴いてもらいたい、相談したい」というニーズが、マーケットに存在するのであれば、長年、この業界(森林・林業)で活動してきた者としては、とても有り難いことだ。そして、それが自分に課せられた、期待されている役割なのだとしたら、それを遂行していくことが、自分自身の「生きざま」そのものということになる。そういう気持ちで、今日も、目の前の案件に臨みたいと思っている。

株式会社フォレスト・ミッション 代表取締役、林業経営コンサルタント、経済産業大臣登録・中小企業診断士
我が国における林業経営コンサルティングを構築した第一人者であり、これまで460超の林業事業体の経営コンサルティングに携わる。2015年から、活動拠点を東京から信州・蓼科に移して活動中。