フォレスト・ミッションBLOG

林業の産業としての自立、そして林業に従事する人たちが誇りを持てるように、私たちは、自らが信じる、森林・林業のあるべき姿を、林業関係者の皆様と一緒に創造していきます。

未分類

映画 PERFECT DAYS を観て、そして考えたこと

投稿日:2024年12月31日 更新日:


 アマゾンプライムで、役所広司主演の「PERFECT DAYS 」をじっくりと観た。この映画は、第76回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、彼が日本人俳優としては男優賞を受賞した 作品である。東京の渋谷区にある公衆トイレの清掃員として働く中年の男の日常を描いたもので、日本では昨年12月に公開され、世界で約37億円の興行収入を得た話題作である。 公開された際、東京の映画館に行って観る予定にしていたのだが、仕事を優先した形になり、アマゾンプライムで観ることになった。

 役所広司さんは、我が国の俳優では断トツの名優だと思っている。私よりも2才年長の68才で、年齢を重ねるほどに、その演技の円熟味が増して、国際的な俳優として高い評価を得ている。その役所さんが、公衆トイレの清掃作業員を演じるということで、ずっと気になっていた映画だった。ドイツ人の監督で、小津安二郎の世界が底流にある映画であり、淡々とした時間が流れていく中で、役所広司演じる「平山」という人間の「誠実さ」「生真面目さ」「職人気質」といった人物像が随所に描かれていて秀逸な作品になっていると思った。但し、個人的は、映画館に行ってまで鑑賞する映画かなというところはある。

 我々のような年齢になると、それなりに長い間生きてきた帰結としての人生観が構築され、独自の価値観や基準に準拠して、日々の行動が形成されるようになる。それは、平たくいえば「頑固さ」ということになるが、よくいうと「ブレない生き方」ということになる。この映画を観ながら、つらつらと考えたことがある。それは、「一つのことを長くやり続ける」ということの意義、そして、そのことで培われるさまざまな価値観の重み、それを「佇まい」として備えている人間のある意味での「美しさ」等々である。

 私を含めて、多くの人間は単純で俗っぽいから、物事を「好きか嫌いか」で判断したり、できる限り「好きなこと」をしようとするものだ。仕事についてもその傾向は否めない。人付き合いになると、それが覿面となる。しかしながら、世の中の仕組みやルールは、そう単純ではなく、特に組織社会に身を置く以上、さまざまな柵(しがらみ)や葛藤の中で、ストレスを感じつつ、日々を生きることになる。その文脈でいけば、「PERFECT DAYS」の主人公である、役所広司演じる「平山」の生き方は、そういうところからは、かなり距離を置いた、「ベターな生き方」だと云えるだろう。

 自分の生き方について、それが「正鵠を射ているかどうか」や「充実しているかどうか」など、他者が決めつけるものではなく、本人がそう認識していれば、多分そうなのだとするべきだ。勿論、公序良俗に反することをしていない、他人や社会に迷惑をかけていないという前提はあるにせよ、この国に生きる多くの人々は、社会的常識を持って、日々、懸命に働き、真面目に生きているという実態がある。残念ながら、その主軸から外れてしまった者は、自らの居場所を失って半ば漂流する人生を送る羽目になりがちだ。特に、年をとってからの漂流は、挽回することが難しく、その人間にとってとても辛いものになる。「自分に嘘をつく」生き方をしてはいけない。

 役所広司主演の映画から、とめどもなく思索が広がってしまったが、最近は、一つの事象や風景、樹木の姿などに触れるにつけ、人間の生き方や価値観などに結びつけて考えるようになった。それだけ、歳を重ねたのだと思う。

 

 

 

-未分類

関連記事

首都圏の電車内でのスマホ使用率は71%

 今年初めての出張ということで、午後一番のあずさ号に乗り、茅野→立川→西国分寺→武蔵浦和→大宮→新白河という行程で、午後5時前に、福島県の新白河駅に着いた。今日は前泊で、明日、古殿町というところで、林 …

次世代の若い人たちのために

 私は昭和32年(1957年)生まれで、昭和の高度成長期、平成にかけてのバブル期の恩恵を少しは享受し、それなりに生きてこれた世代である。約10歳年長の「団塊の世代」のような「ラッキー」な人生を送ってき …

近来稀に見る暴言で辞任へ

川勝平太静岡県知事(静岡県庁HPより)  静岡県の川勝平太知事は、2009年に当選して以来、4期連続で知事に就任、その間、特に、リニア関係の問題発言で、世間を騒がせてきた。御殿場を揶揄した「コシヒカリ …

盆休みに考えたこと

 今年の盆休みは、異常に長かったが、私自身は涼しい蓼科にいて、仕事関係の資料を作成したり、好きな本を読んだり、ギターの弾き語りをしたりして、この長い盆休みを過ごした。そして、盆明けの出張や仕事の期間を …

穏やかに令和7年がスタート

 例年通り、蓼科の地で新年を迎え、早や4日目になった。昨年は、元旦から、能登半島地震が発災、また、羽田空港での衝突事故があり、正月気分どころではなかった。今年は、そういうこともなく、個人的には平穏な正 …