今月22日、プロゴルファーの坂田信弘さんが逝去した。享年76歳だった。坂田さんは、京都大学中退で、その後、自衛隊に入り、栃木県の鹿沼CCの研修生となり、1975年、28歳の時にプロテストに合格した。トーナメントプロとしては、実績を残せなかったが、ゴルフの指導者としての才能が開花し、主宰した「坂田塾」からは、古閑美保や上田桃子、有村智恵、安田佑香などの一流女子プロを輩出している。「週刊ゴルフダイジェスト」に「野生塾」という長期連載をしていて、私は、時々、それを読むのが楽しみだった。
坂田さんは、全国を講演活動などで行脚しながら、その合間にこの連載の原稿を書いていたようだ。前文の締めに「体調良好です」といつも書いていて、読者から寄せられたさまざまな質問に答える形式の連載だった。その「体調良好です」という言葉に、私はいつも励まされていた。寒い時も暑い時も、ゴルフのコーチや講演活動を精力的にこなしつつ、味のある名文調の記事を読ませてくれた。坂田氏とは面識はなかったが、多分いい人なのだろうと、彼の書いた文章を読みながらいつもそう思っていた。
谷村新司氏、伊集院静氏、そして坂田信弘氏と、70歳半ば前後の味のある人たちが、次々にこの世を去っていく。おそらく、70歳代半ばというのは、人生の一つの岐路になるのだろう。私自身もその年代まで10年弱となり、自分の中でいろいろな思いを巡らせながら、日々、目の前のことに注力している。10年などあっという間の時間になるだろうし、一人でやれることはたかが知れている。しかし、谷村新司さんや伊集院静さん、坂田信弘さんらが、その人生を懸命に生きたように、私もこれからの10年間なりを、思い残しのないように精一杯、自分らしく生きていこうと思っている。
株式会社フォレスト・ミッション 代表取締役、林業経営コンサルタント、経済産業大臣登録・中小企業診断士
我が国における林業経営コンサルティングを構築した第一人者であり、これまで460超の林業事業体の経営コンサルティングに携わる。2015年から、活動拠点を東京から信州・蓼科に移して活動中。