前回、LGBT理解増進法なる法律(理念法)は、基本的に必要のないものだと私は断言した。その理念に基づいて、これから、荷物を積み上げていくように、具体的な法律(実定法)が法制化されていくことになるが、仔細なところまで入れば入るほど、この社会の構成員間の分断が進み、また、新たな犯罪を誘発する懸念がある。その際、我々の日常生活に悪影響を及ぼすことは必定だ。女装をした男が、女性を襲ったり、女性専用の風呂に侵入したりした際、被害に遭った女性、特に女児の「心の傷」は極めて深刻なものになる。実際に、そういう事件がすでに起こっているという事実もある。
新聞やテレビなどのいわゆるオールドメディアは、この法律が検討されている最中においても、殆ど、その内容を報道しなかった。テレビは、大リーグでの大谷選手の活躍ぶりを繰り返し放送するばかりで、大谷選手の活躍はすばらしいことだが、それは、スポーツ番組でやることであって、一般のニュース番組のトップで扱うようなものではない。LGBT理解増進法については、メディアによる解説や分析もなく、国民の意思不在のまま、法制化されてしまった。これこそ、民主主義にもとる行為だと思う。
それどころか、朝日新聞や東京新聞などは、G7の先進国でLGBT差別禁止を法制化していないのは日本だけ(外務省の調査でどこもないということが判明)という虚偽の報道をして、一般国民をミスリードした。TBSのニュース番組で、朝日新聞出身のキャスターが、「他の国はすでに入っている」などと、平然とコメントしていたのをみて、そんなのを聞いて、「日本は遅れているから、法制化は当然だ」と思い込んだ(洗脳された)人も少なからずいたのだと思う。私は13年間、放送局に勤務し、報道記者の経験もあるが、今のテレビの姿は、あまりに醜く、放送局OBとして恥ずかしい限りだ。
また、ラーム・エマニュエルという駐日大使が、積極的にこの法律の成立を推奨していたことは、「内政干渉」との誹りを免れるものではないが、米国でさえ、人種問題に加えて、LGBTについても深刻な問題を抱え、独自の法律がないにも拘わらず、日本には平気で口出しをする。そこには、組織的にしろ、個人的にしろ、悪意というよりも、一定の意図というものを感じる。岸田首相の秘書官の失言に端を発し、エマニュエル大使の推奨活動、そして、広島でのG7開催というタイミング、いずれにせよ、岸田首相が毅然とした意思決定をしていれば、この法律は廃案のままだったはずである。
今月16日の参議院の本会議で、LGBT理解増進法が可決された瞬間、私は、何か悪い夢をみているような錯覚に陥った。これから、世の中はますます混乱し、新たな犯罪が頻発する可能性があり、特に、娘を持つ親は怒りとそして危機感を最大化する必要がある。そして、親の責任で、何としても女装をして女性を襲ったり、女性だけの場所に侵入する犯罪者から娘を守らなければならない。親の心理的・物理的負担はますます重くなり、そうなると少子化の加速がさらに増すことになる。
健全な社会を創造し啓発していくために、重要なのはもちろん政治と教育、そして良質のメディアである。LGBT理解増進法においては、政権を握る自民党がこの法律を率先して構築、小学生から理解増進の教育をすることを折り込み、メディアは、国民の「知る権利」を無視し、必要のない法律が歪な形で生み出された。犯罪の誘発は由々しき問題だが、啓発や教育など関連事業の実施にかかる無駄な公金の拠出は、都道府県や市町村の財政を圧迫するし、次なるターゲットである「同性婚」の合法化に進む懸念、果ては、男系天皇制の廃絶というところにも連なっていく。この「悪法」を葬り去る力がないことが悔しくてならないが、せめて自分ができることは、身の回りにおいて、「自分が正しいと確信する行動」を貫いていくことしかないと思っている。
株式会社フォレスト・ミッション 代表取締役、林業経営コンサルタント、経済産業大臣登録・中小企業診断士
我が国における林業経営コンサルティングを構築した第一人者であり、これまで460超の林業事業体の経営コンサルティングに携わる。2015年から、活動拠点を東京から信州・蓼科に移して活動中。