フォレスト・ミッションBLOG

林業の産業としての自立、そして林業に従事する人たちが誇りを持てるように、私たちは、自らが信じる、森林・林業のあるべき姿を、林業関係者の皆様と一緒に創造していきます。

未分類

提案型集約化施業の意義を再認識する

投稿日:2023年5月22日 更新日:

 先週土曜日に、近隣の財産区の役員と面談し、意見交換等をした。私は、全国各地に出向き、林業事業体と呼ばれる森林組合や民間の林業会社に対して経営等の助言をするのが自身の事業の柱になっているが、数年前から、森林所有者や財産区のような森林を所有する団体からいろいろな相談を受けることも多くなっている。土曜日会った財産区も、将来に向けてその森林をどう整備・管理、あるいは活用していくかで悩んでいて、人を介して面談することになった。

 大きな森林を持つ財産区であれば、まず、一本で森林経営計画を策定することができる。いわゆる属人計画である。その上で、搬出間伐や(皆伐)・再造林、育林などを、補助金を活用して実行していくことになる。話し合いの際、村の事情をよく知る役員から、「その森林経営計画には、財産区以外の山主も参加できるのか」との質問があった。属地計画にすれば集約化は可能で、即座に、「それは、集約化といって、小規模の所有者さんの森林を整備していくための大変重要なことなのです」と答えた。その人は、「それができるのであれば、助かる人がたくさんいます」と言って、嬉しそうだった。

 集約化施業のメリットは、森林を整備・管理する事業体側だけではなく、元々の発想は、小規模・零細の森林所有者の森林を持続的に整備・管理していくことが要諦である。財産区という大規模所有者が核となって、周辺の小規模・零細の森林所有者を集約化して、順次、施業を実施していくことによって、効率的で計画的な整備・管理が進んでいく。事業体が自ら足を運んで、そういった森林所有者に提案し、集約化して、大きな事業地を構えた上で、間伐などの施業を進めていくことを「提案型集約化施業」というのだが、取り組みか開始から10数年経っているのに、まだまだ、普及・浸透していないところがある。

 森林経営計画の樹立率が、人工林の3割程度で、そこから、前に進んでいない実態があり、そこから外れた森林所有者が理論上7割程度いて、新たな森林管理経営制度では、到底カバーしきれない。放っておかれていたのだから、当然ながら、条件が良い森林ではないだろう。しかし、森林経営計画を策定して、さらに、集約化を進めることによって、再生される森林や救われる森林所有者がたくさんいる。先だって、設立した新会社は、そういった活動も事業領域に入っていて、補助金や助成金を活用しながら、できれば、所有者の負担なしに、手入れの遅れた森林を蘇らせたり、少なくとも将来につながるような林型にもっていければと考えているところだ。

-未分類

関連記事

林業経営コンサルタント育成塾(坪野塾)明日開講

 自身の後継者を育成し、バトンタッチしていくのは、その道を開拓した者の責務であると、ずっと意識してきた。これまで、経営コンサルタント(中小企業診断士)としての後進の育成は、神戸にいた時代から、「プロコ …

今年最後の降雪になるのか・・・

 昨夜から雪が降り出し、朝、起きたら、写真のように一面の雪景色だった。まさに「なごり雪」となるのか、予報では、今日午後2時頃には雪がやみ、明日からは、好天が続く見込みで、蓼科では、長く厳しかった冬がや …

近来稀に見る暴言で辞任へ

川勝平太静岡県知事(静岡県庁HPより)  静岡県の川勝平太知事は、2009年に当選して以来、4期連続で知事に就任、その間、特に、リニア関係の問題発言で、世間を騒がせてきた。御殿場を揶揄した「コシヒカリ …

総務省行政文書問題について…

 高市早苗経済安保保障担当大臣が、立憲民主党の議員から、8年前の総務省の内部文書の内容で追及され、大臣辞任、議員辞職まで要求された問題について、そのやり取りをみた限りの、私の見解を書くことにする。断っ …

安倍元首相暗殺現場に立つ

 明日、奈良での案件があり、今日は、京都駅前に前泊ということで、名古屋から新幹線で京都に着き、そのまま、近鉄京都線に乗り継ぎ、特急で30分のところにある、大和西大寺駅に移動した。北口で降りて、安倍元首 …