私自身、これまでの人生で、私生活はともかく(離婚経験が複数回ある)、ビジネスにおいては、人の縁をことさら大事にしてきたと自負している。曰く、「人の縁とは、先方から切られた場合は仕方がないが、自分から切るものではない」ということだ。「来る拒まず、去る者追わず」と一見似ている考え方だが、人の縁は、もっと深いところで結ばれたり、そうでなかったりするもので、かなり別種のものだと私はそう思っている。
今日、仕事の話で、ある団体の人と電話で話をしていた時、「私は、せっかくいろいろな方の仲介や口添えもあって、貴団体とのご縁ができつつあるので、そのご縁を大事にしたいと思っているのです」と申し上げた。つまらないことで、齟齬が生じて、せっかくの縁が切れてしまうのは、お互いにとっても、間に入ってくれた人も含めて、誰も幸せにならない。
林業界は、とても狭い業界である。その業界で長年活動している私のところには、正直、いろいろな情報が入ってくる。元々、報道記者だったのだから、情報収集と分析能力には長けているという自負がある。しかし、それ以上に、狭い世界だからこそ、きちんとした生き方をしていかなければ、心ある人からは見限られ、引いてはマーケットから見限られることになると思っている。
人間と人間の縁は、AIではコントロールできないものだ。そこには、いろいろな力学が作用している。そして、その関係性も多様で個別で全て違う。実に深淵なのだ。だからこそ、大事にしなければならないし、そのケアに手を抜いてはいけないのだ。古い人間だと言われようが、私はこれからも、義理人情、人の人のつながりというものを大事にしていくつもりだ。それが私の生き方そのものだから、これまでも、そしてこれからもブレることはないだろう。
株式会社フォレスト・ミッション 代表取締役、林業経営コンサルタント、経済産業大臣登録・中小企業診断士
我が国における林業経営コンサルティングを構築した第一人者であり、これまで460超の林業事業体の経営コンサルティングに携わる。2015年から、活動拠点を東京から信州・蓼科に移して活動中。