フォレスト・ミッションBLOG

林業の産業としての自立、そして林業に従事する人たちが誇りを持てるように、私たちは、自らが信じる、森林・林業のあるべき姿を、林業関係者の皆様と一緒に創造していきます。

未分類

森林所有者の無関心化には加速がかかっている→時間がない

投稿日:2019年10月2日 更新日:

 森林組合の経営診断などで、組合員のヒアリングをすることが多いが、そもそも、そういうところに出てくる人は、まだ、森林に対して関心を持っている方である。父親が植林をしたとか、自分自身も若い頃は、下刈りとか除伐などを手伝ったとか、時々、自分の持山を見に行くとか、そういう人が多い。この人たちは、森林への関心は低下しているものの、無関心層ではない。

竹林化したスギ林

 私自身の経験値では、そういう森林所有者が1割程度で、9割は無関心層である。そして、1割程度のまだ関心のある層の高齢化は甚だしく、次の世代の殆どの人には、森林などには何の関心もない。関心があるとすれば、その森林がもたらすかもしれない「お金」だけである。そのお金もろくに戻ってこないとわかると、もう「放っておいてくれ」ということになる。そこには、「森林経営管理法」で規定された「所有者の責任」などという意識は全く存在しない。

 人工林は、元々、「お金を儲けるために植林した」投資行為の森林である。いろいろな要因があるにせよ、結果的に「儲けにならなかった」のだから、過去の投資行為は失敗だったとして、それを放棄する。ビジネスの世界では当たり前のことだ。しかしながら、森林の多面的機能とか環境保全とか、そういう側面が前面に出てくると、そういうビジネス的な視点ではない価値基準や行動基準がスタンダードになってくる。

 少なくとも、自分の代に、あるいは自らスギやヒノキを植林した世代の人たちには、自らの意思でやったのだから、原則として、その責任を全うしてもらう必要があると思う。しかしながら、親や祖父の世代が植林して、それを相続する立場の後継世代の人は、植林や育林に対して何の意思も入っていないのだから、所有者の責任を言われても、「自分には関係がない。関与していない」というのが本音のところだろう。

 そういう層が所有する森林(殆どが放置林でかなり荒れている)を救って再生あるいは管理していこうというのが、森林環境譲与税による「新たな森林管理システム」である。その主体になる市町村は、現状で「様子見」をしているところが多いが、そうしている間にも、森林所有者の無関心化・山離れは加速をつけて進み、かろうじて関心を持っている1割以下の所有者も高齢化等で、そこから離脱していくだろう。様子見をしている時間はないのではないか。

 では、どうすれば、そういう森林、人工林を救えるのか。公的管理だけに委ねておいていいのだろうか。それは、私も含めた林業関係者にとっての重大な課題であり、我々はそこから逃げるわけにはいかない。100年の計をもって、荒廃してしまった、あるいは荒廃しつつある人工林を、できるところは再生、無理なところは、その地形や地位に適合した森林に誘導していかなければならない。但し、森林所有者の無関心化は進む一方なので、これにブレーキをかけて、願わくば関心を持ち直してもらうような取り組みも、行政を含めた林業関係者のミッションだと思っている。

-未分類

関連記事

東京に向かう車中にて

 予定よりも一本早い「あずさ号」に乗り、東京に向かっている。明日、新木場の木材会館で開催される「令和6年度林業イノベーション現場実装シンポジュウム」に参加するためである。今回は、「技術は林業の未来を変 …

「秋の気配」を感じながら・・・

 例年だと、8月10日を過ぎたあたりから、急激に涼しくなるのだが、昨年あたりから様相が変わり、今年は8月末のこの時季になっても、日中で30度を軽く超える日が続いており、明らかに気候が変わったという実感 …

千葉県の大規模停電とスギの倒木について思うこと

 千葉県では、台風15号で南部を中心に大規模停電が続いている。ライフラインの中でも、電気は特に重要である。私自身も、昨年秋に台風による停電で、1日半ほど電気なしの生活を強いられたが、たった1日半でも大 …

敗軍の将、兵を語らずで・・・

 昨日、午後6時から約30分に亘って行われた「石破首相辞意表明会見」を一通りみたが、率直な感想は、表題の通り、「敗軍の将、兵を語らず」で良かったのではないかというものだった。私個人は、石破茂首相のこと …

素顔をみせられる場所

2004年 ビジネスマンバイブルより  ビジネスパーソンにとって、ビジネスシーンは基本的に戦場である。そこは、性善説では到底通用しない権謀術数の坩堝である。ビジネスシーンにおいては、片時も気を抜いては …